本日、土曜日でしたが、熱きピアエデュケターと共に、デフォルタートレーシングに行って来た。
「デフォルタートレーシング」とは、PLWHA(People Living With HIV/AIDS)のClientが病院の受診予約日に来なかった場合、そのClientを追跡するというもの。
HIV/AIDSとは、偏見などにより周囲に打ち明けていないとか、仕事があってこれないとか、死亡してしまうとか色々な理由が考えられる病気であり、一度薬を飲み始めたら、飲み続けなければいけない病気でもあり、このデフォルタートレーシングは、とても重要な役目を果たしている。
昨日、追跡する人を上げ、その人々の住所やら個人データをチェックし、今日は、3人の追跡を行うことになっていた。
ま~~~すごい仕事だった。
なんせ、こちらの人々は自宅の細かい住所などはほとんど持っておらず、アバウトな情報しかない上に、地図はなく、電話はつながらず、一夫多妻制のため、何件も家を持っている場合もあり、何人もの人に聞きまくって、探し当てるという方法を使うしかない。
その上、平気で間違った人の家を紹介されることもあり、それによって、日本の東京で言う、駅一駅分ほどの距離を振り回されることになる。
しかも、ただ道を聞くという理由で、立ち寄った先々で、家の中に通してくれ、いた人全員と握手とあいさつを交わし、それから道を聞くという作業に入る。
だけど、おかげで、今日一日、色々なお宅にお邪魔し、また新しい一面を見ることができた。
スキーのトレーニングでたまにやっていたような、マウンテンバイクでボコボコ道を走るという、そんな感じで、「牛の岩と糞よけながら走行」すること3時間。
一件は家が見つからず次回に持ち越しとなり、一件は親族の入院のため受信日には行けなかったが月曜日に来るということになり、一件は死亡していたという追跡結果に終わった。
HIV/AIDSという、数多くある病気の一つにすぎないけど、特殊な病気だからこそ生まれたこの医療の形。
地道な方法で人間を相手にし、患者さんの一人ひとりをケアするこの形。
いいなコレと思った。重要だなコレと思った。
今日回って、死亡が確認された一人は、1歳2ヶ月の男の子で一昨日亡くなったらしい。おばーちゃんが悲しそうに語ってくれた。「彼は、そういう運命だったのだ」と「神が決めたことだ」と。
どうやったら、彼は生きるという自分の運命を切り開けたんだろうか。
どうやったら、彼は死なずにすんだんだろうか。
その問いに、ココでの医療の、そして私たちの活動の原点があるんでしょうね。
帰りに、今日共に行ってくれた熱きピアエデュケーター:スティーブのお宅にお邪魔した。
彼は、うちのPSCの中でも、一番まじめで熱くて朗らか。正直に自分のことを語ってくれる信頼の置けるおっちゃんである。
彼の家族は、奥さん2人、子ども6人。同じ敷地内に弟の家族(奥さん2人子ども8人)と、今年74歳になるお母さん↓が暮らしている。
平均寿命が50歳前後といわれているケニアで、とても長生きしているお母さん。
私に、突然、卵が腐っているという話をしてくれた・・・。
スティーブは、HIV陽性者。二人いる奥さんのうち、一人は陰性だったが彼のStatusを知ってから、口を利くことも、ご飯を共に食べることも拒絶するようになり、今は別居し、子どもたちだけを引き取っており、6人いる子どものうち、3人はHIV陽性。2人目の奥さんも、陽性。
だけど、彼女や子どもたちを心から愛しており、彼らもスティーブを愛しているので、家族は幸せだと語ってくれた。
「家族にPEACEがあることが最も大切。家族との生活がすべて」
名言である。
「あなた以上に知識を持った人がいっぱいいて、戦っているにもかかわらず、なかなか解決できない問題があるところに、あなたが行ってどうするんですか?どうやって解決するんですか?」
コレは、私がこの協力隊に応募して受けた面接で、鬼のような面接官のおばちゃんが私に問いかけた質問である。
緊張でテンパッテいた上に、そんな一番いたいところを突かれた私は、とっさに答えた。
「情熱が大事です。あきらめず、情熱を持って励まし、一緒に考えていきます。」
その答えがよかったのか悪かったのかは分からないけれど、あの鬼面接官の行ったとおりの現状がココにある。
あの面接でとっさに出てしまった言葉に責任を持って行くべきでしょうね。
Passion Passion Passion~~~!!!
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